先に辞めるつもりだった私よりも先輩が早く退職する。
1年前に同じ職場だった先輩が退社するらしい。
私と先輩は同時期に別々の事業所へ異動となり、それっきりだった。
私の上司がその先輩を自分の事業所へ引っ張れないかと先輩を口説くために電話していた。
長い電話が終わり上司に聞いてみた「先輩は口説けましたか?」
すると「彼、辞めるんだって」
もう少し詳しく聞くと、先輩は結婚を機に転職するらしい。
先輩の退職の申し出に対してエリア長や会社役員も説得したが、それでも先輩は固辞し続けたそうだ。
上司はエリア長なんかからそんな話を聞かされていたが、そんなことはお構いなしに電話したそうだ。
しかし、先輩は「こんなに断ってきたのに、ここでやっぱり続けますというと偉い人達に申し訳が立たない」と話したらしい。
ほー、よくできた先輩である。
私だったら、先輩がやっぱり続けるという選択をしても、役員達もラッキーと思うのではないかと思う。
そして、私の方が先に転職をするつもりだったが、結局だらだら1年働き続けてしまい、一方の先輩は結婚もして、自分の人生をしっかりと動かしている。
先輩という人は私より年齢は1つ下なのだが、入社年度が私より1年早いお人なのだ。
そいで、辞めるとなればエリア長も役員も説得するという、会社にとって居てほしい人材で、優秀な人は会社の偉い人たちがこぞって止めに入るようだ。
一方の私は、異動の前に一度上司に辞める意向を伝えたところ、エリア長が面談に来たことがあった。
私の退職希望の理由は、事業所で溺死体を発見してから起きた体調悪化だった。
面談で、エリア長は「確かに体調を崩してまで仕事は続けない方がいいかもしれない」と理解を示してくれた。
そこで、転職活動をしていたが、どうやら上司が通常よりも早く異動をさせてくれたらしく、他の人よりも少し早く異動となった。
異動したことで、ひどい体調不良は軽減したが、私の体調が万全になることはなかった。
今も体調不良に襲われている(自己発見の半年後とか1年後に自己発見直後のような体調の悪化が現れる)。
という訳で、異動して少し体調がよくなるのを待ってから転職しようと思っていたら、そこでの先輩の急な退職、周囲の温かい対応、管理者が事業所長になるという色々なコンボが発生し、
なんだか、辞めるタイミングを逃し、だらだら1年近く続けてしまった。
そして1年経ったら、また体調不良に襲われているという、なんだか馬鹿な話である。
そして、先輩の結婚と退職の話である。
私は、ぼーっとした頭で自分は何やってんだろうな、先輩は結婚するなんてすげーな、俺も将来をあまり感じていないのに今の会社をだらだら続けてどうすんだろな、
と、思ったのであった。